茂市久美子 「つるばら村のパン屋さん」
小2か小3のときに読んでから一番好きな児童書のシリーズです。
小学生時代、あんびるやすこさんの「なんでも魔女商会」や「魔法の庭ものがたり」シリーズ、「わかったさん」「こまったさん」の料理シリーズ、「ブンダバー」シリーズ、宗田理さんの「ぼくら」シリーズなどなど挙げだしたらキリがないですが、たくさんおもしろいお話に出会いました。
その中でもこの「つるばら村」シリーズは、ほっこりする話ばかりで、たまに思い出してはつるばら村に本当に行ってみたいなあと考えるほど好きな作品です。シルバニア村を思い起こさせるような雰囲気もあって、シルバニアが好きだったからつるばら村も好きになったのかなと今では思いますね。
10年ぶりに1から読みかえそうと思って、図書館で借りました。
当時の自分にとっては、少し長い話でがんばって読んでいた気がするけれど今は1時間かからずに読み終わってしまいました。
くるみさんは、つるばら村で、宅配のパン屋さんをしています。
おいしいパンを、村じゅうのひとたちに食べてもらえたらいいな…。そう思っているくるみさんのところに、お客さんからパンの注文がありました。きょうもくるみさんは、たっぷり心をこめたパンの生地をねりこんで、ふっくらやきあげます。
くるみさんとお客さんとの、かわいいパンのファンタジー。
(説明欄より)
駅前にお店を出すのが目標ですが、今はまだ宅配専門のパン屋さんを始めたくるみさんの1年が描かれています。注文に来るお客さんは人ではなく動物や妖精。
はちみつのパン
最初に来た珍客はクマさん。風が運んできたくるみさんの声を聞いて注文に来たそうです。農家の方が野菜を育てるときにクラシックを聞かせるとおいしくなるみたいな話はよく聞きますが、クマさんが持ってきたレコードは森の中の環境音でした。小鳥の声や水が流れる音を想像しながら読むと心地いいですね。クマさんがパンを取りに来たとき、くるみさんがしりもちついて驚いているのがおもしろかった。動物がお客さんとしてくるのが当たり前の世界観ではないというのが子ども向けにしてはリアルだなと思いました。
タンポポのはちみつってどんな味なんだろう。若葉のあまいかおりや春のおひさまのにおいがするって書いてあったからきっとあたたかいおいしさなんだろうなあ。
ドングリのパン
平成たぬきぽんぽこを思い出しました。こちらはキツネですが。ドングリって食べれるんだね。小豆みたいな味らしい。
三日月のパン
ホテルから三日月パン30個の注文を受けたくるみさん。ウサギが経営しているホテルの朝食用でした。お代がわりの一泊分の宿泊券にちょっと落ち込んでるくるみさんに同情するよ。30個も夜中に作ったのにたった一泊(笑)
三日月パンってたぶんクロワッサンのことだと思うんだけど、あえて三日月って書くのがお話の世界観にあってていいね。
このホテル、お客さんの心をあらってくれるそうです。私の心もあらってほしいー。たぶん黒々としてるだろうからぴかぴかにしてほしいなー。ウサギが、心が丸いレモン色をあらう設定にしたのは、月から連想したのかなと思ったり。
クリスマスのパン
冬の夕方にくるみさんが駅前でパンを売って家に帰る途中、空から降ってきたのは星みがきをする北風の若者。花のみつを食べたいという若者を家に連れて行き、三日月パンといっしょにはちみつを出しました。
パンのおいしさに感動して無我夢中で食べる北風、人間っぽい(笑)
あんこのパン
1月にあんパン20個を頼みに来たのはトラネコ。今回もくるみさんの心の声、もれてます。
(ああ、これをネコがたのみにきたんじゃなかったら、どんなによかったかしら。)
ほぼ無給だもんね(笑)注文がわががまだし(笑) かつお節を混ぜた生地に、煮干しをのせたあんパンはあんまりおいしそうに聞こえないけど、ネコたちには好評だったみたいです。結局、注文にきたネコはくるみさん家のネコ(ニボシ)になるというちゃっかりさがおもしろい。
ジャムのパン
妖精がパンを焼くために台所を借りに来ました。おいおい、パン屋にパンを焼きにくるの ?と思ったら、ちゃんとくるみさんもつっこんでました。
妖精が作ったのは花のジャムパンでしたー。このパンの描写がすごくおいしそうに書かれててお腹すいてくる。「小さなカプセルがぱちんとはじけたように、あまい花のかおりが口じゅうにひろがりました。」「パンというより、花のつぼみを食べたみたいだわ。」だって!絶対おいしいよね!
後日自分でジャムパンを作り、自分の店でも出すことを決めたくるみさん。ちゃんとレシピ覚えてたんだね。 誰か現実で再現してくれる人いませんかね?
一番好きって言っておきながら、はちみつと三日月パンの話しか覚えてませんでした(笑)まあいいや、
あと9冊あるからね、しばらくつるばら村の世界に浸ります。