越谷オサム「金曜のバカ」、文月悠光「洗礼ダイアリー」

 

 図書館で「陽だまりの彼女」借りようと思ったら、貸し出し中だったので同じ作者さんつながりで題名に惹かれて手に取りました。表紙の絵がなんか見たことあるなあと思っていたら、「日常」あらゐけいいちさんでしたー。

 

内容紹介

 天然女子高生と気弱なストーカーが繰り返す、週に一度の奇天烈な逢瀬の行き着く先は―?(「金曜のバカ」)「また、星が降る夜に逢えたらいいね」―流星雨の夜に出会った少女が残した言葉が、今胸によみがえる。(「星とミルクティー」)不器用だけど一途な思いを抱えた“バカ”たちが繰り広げる、愛と青春の日々。何かを好きになった時のときめきと胸の高鳴りに満ちた、ほっこりキュートな傑作短編集。 (裏表紙より)

 

全部で5編収録されていて、一つのお話が50ページぐらいなのでちょこちょこ時間が空いた時に読めてちょうどいい。一話ずつ感想書いてみます。

 

 1.金曜のバカ

しょっぱな援助交際の話かー、そういう話と思ってなかったよとなりましたが、まんまと騙されました(笑)小説だからバカな二人だなって見てられるけど現実でこんなことあったら引く(笑)女子高生のモノローグがラノベ感満載でおもしろい。ストーカー男が入間一間さん作品にでてきそうな思い込み激しすぎる人間でちょっと気持ち悪いけど、一途でピュアな心の持ち主だと捉えれば…

 

 2.星とミルクティー

これが一番好きだったかな。天体観測をする少年少女の物語。SFまでいかないほんわかファンタジー。金曜のバカからの文体の変化がすごくてこんな真面目な感じも書けるのねとなった。最後、主人公が子どもにつけた名前それにしちゃったら奥さんちょっとかわいそうじゃない?と思ったのだけれど読書メーターで他の人の解釈を読んで納得した。

 

 3.この町

 松山の男子高校生が付き合い始めた彼女と、夜行バスで東京に行こうとする話。地方の高校生が東京に憧れる感じ、あるあるだよね。彼女への下心ありまくりの描写はバカだなと思いながら読みましたが、最後は自分がバカだと気づき少し成長してたので読後感がよかった。まあ彼女は彼女で約束守ってあげろよとは思ったが(笑)

 

 4.僕の愉しみ 彼女のたしなみ

恐竜オタクの17歳の高校生 がそれを隠しながら恐竜展で女の子とデートする話。友達にさえあんまり趣味とか好きな芸能人とか知られたくない私にとってはこの男子の気持ちとてもわかる。

結末はあーよかったね!っていう感じです。好きなものを理解しあえるいい関係を続けていってね。

 

 5.ゴンとナナ

 吹奏楽部をやめた高校三年生の女子高生とペットの犬の話。これに出てくる後輩男子くんは理解できん。まあ想われる方が楽だから、そっちを選んじゃったのかな。

ペット目線のお話はたくさんあるけど、同じ場面を人間とペット両方の目線から見たお話はあまり見かけないので新鮮でした。

 

 

 

 

 

洗礼ダイアリー

洗礼ダイアリー

 

 詩人、文月悠光さんのエッセイです。

NHKの「ニッポンのジレンマ」という討論番組に出演されてから知り、「臆病な詩人、旅にへ出る。」というエッセイは読んだことがあったのですが、前作にあたるこちらを読んでいなかったので今更ながら読みました。

 

すごく繊細な方なんだろうなと思った。でも共感するところもあって、今まで何となく感じていたけど言葉にできなかったところを優しい言葉で書いてくれていました。「いらっしゃいませの日々」「パラレルワールドの恋人たち」が好きだったな。

詩集はまだ読んだことがないので、いつか読みたい。